最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)767 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士塩田親雄の上告理由第一点について。
所論の点に関し原判決がその挙示する証拠に基いてなした事実認定は各証拠に照
し首肯できないことはなく、所論はひつきよう、右認定と相容れない事実を主張し
つつ、原審がその専権に基いてなした証拠の取捨選択並びに事実認定を非難、攻撃
するに外ならないものであつて、上告適法の理由となすを得ない。
同第二点について。
しかし、所論被上告人の主張事実も、所論原判決の認定事実も丙第二号証が上告
人の意思に基いて作成されたものであるという点では一致するのであるから、原判
決は被上告人の主張しない事実を認定したことにはならず、従つて、原判決には所
論違法ありというを得ない。故に所論は採用できない。
同第三点について。
しかし、証人の供述の一部を採用すると他を排斥するとは裁判所の自由な心証に
任かされていることであり、しかも、そのような場合裁判所は採用不採用の各部分
を一々判文に明示しなければならない筋合があるわけのものではないから、原判決
には所論の違法ありというを得ず、所論も、採用できない。
同第四点について。
しかし、所論原判示の場合は民法一〇八条にいわゆる自己契約又は双方代理の場
合に該当するものとは解し得られないばかりでなく、所論のような場合の登記手続
は右法条但書にいう債務の履行にあたると解するを相当とし、従つてその本文の適
用を受けないものと解すべきであるから、原判決には所論の違法ありというを得ず、
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所論もまた採用できない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
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